AIの活用で医療文書作成時間が半減 ~働き方改革における業務効率化に期待~

  • 2023年12月29日
  • 2023年12月26日

 日本電気株式会社(NEC)と東北大学病院は、生成人工知能(Generative AI)における日本語大規模言語モデル(Large Language Model;LLM)を活用して、医療文書を自動作成する実証実験を実施。その結果、文書の作成時間が半減できたと発表し、来年(2024年)から本格化する医師の働き方改革における業務効率化に活用できると期待を示した。なお、橋本市民病院(和歌山県)も、NECのクラウドシステムを用いて同様の実証実験を実施中だ。

文章の表現や正確性にも高い評価

 実証実験は今年10~11月、東北大学病院の医師10人の協力の下に実施した。まずNECが開発した医療テキスト分析AIを用いて電子カルテに記録された患者の症状、検査結果、経過、処方などの情報を時系列に整理した。そのデータに基づき、LLMを活用して自動作成した医療文書の実用性を検証したところ、治療経過の要約文章が自動生成できることを確認した()。

図.電子カルテから医療文書を自動作成するイメージ

(東北大学プレスリリースより)

 LLMによって自動生成された要約文章は、引用元である電子カルテの記載内容を関連付けて表示するため、医師がエビデンスを効率的に確認でき、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成してしまう現象)の対策にもなるという。

 今回の実験では、紹介状や退院サマリーなどに記載する要約文章をヒトが新規に作成する場合と比べ、所要時間が平均47%削減できた。文章の表現や正確性についても高い評価を得たという。これらの結果から、膨大な電子カルテの記録から必要な情報を収集する作業が大幅に軽減でき、文書を効率的に作成できる可能性が示された。

2024年内のサービス提供を予定

 医療機関による独自のLLMシステムの開発・保有は難しいことから、実際の医療現場でLLMを活用するには、電子カルテから必要な情報をクラウド上のLLMに連携し、要約文章を作成させる仕組みが求められる。

 橋本市民病院は今年10月~来年3月(予定)に、匿名化された電子カルテ情報をNECのクラウドセキュア接続サービス「MegaOak Cloud Gateway」を介してLLMに連携させる実証実験を実施中。患者の個人情報を学習させないように配慮した上での要約文章作成に取り組んでいる。

 今後は、精度向上に加え、退院サマリーだけでなく長期間にわたる治療経過に関する要約文章の作成についても実証実験を行っていく。また、LLMと音声認識を組み合わせた医療文章の作成支援や、LLMを活用した症状詳記などの医療文書の自動作成に関する実証実験を行い、医療機関向けサービスの提供を来年のうちに開始する予定としている。

(編集部)

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