物流2024年問題が医療業界にもたらす影響とは?

  • 2023年12月22日
  • 2023年12月21日

 物流2024年問題により、医療業界はさまざまな影響を受けるとされていますが、医療機関によっては、未だこの問題が把握できておらず、対策が練られていない施設もあるかもしれません。

本記事では、物流2024年問題が医療業界にどのような影響を与えるのかを解説します。来たる2024年4月に向け、想定されるリスクを事前に把握し対策しておきましょう。

物流2024年問題とは?

 物流2024年問題とは、2024年4月1日以降の働き方改革関連法によってドライバーの労働時間に上限が決められることで起こる問題です。

ドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されるため、トラックの輸送距離が短くなり、輸送力の低下を招くとされています。輸送力の低下により、物流・運送業界の売上減少などに加え、医療機関における商品や資材、在庫の不足などが起こるとされています。

医薬品や医療機器などの生命にかかわる製品の供給不足が起こる場合、患者さんの治療や診断に支障が出る可能性があります。

物流2024年問題が医療業界にもたらす影響

物流2024年問題が医療業界に与える主な影響は以下のとおりです。

  • 納品遅延
  • 物流コストの増加
  • 輸送品質の低下
  • 配送附帯業務サービスの停止
  • 過疎地域における物流悪化

輸送力の低下が原因となり、納品遅延が生じ、さまざまな場面で影響が生じます。

納品遅延

 輸送力の低下により、予定していた商品の到着日が遅延することが想定されます。商品の到着が遅れることで、患者さんへの治療や診断に影響が出る可能性があります。
また、支払い締め日の近くでは、商品到着日がずれることで医療関係業者側の経営資金繰りに影響を与えることもあるでしょう。

物流コストの増加

 医療業界では、突発的な手術や機器の故障・不具合などによる機器の緊急出荷サービスを利用する場面が多いが、今後は輸送力の低下により、更なる配送コスト増が懸念されるでしょう。
さらに、配送コスト増加による製品価格への転嫁が起こり、製品価格の上昇も予想されています。

輸送品質の低下

 輸送に関わる人材不足により、外装ダメージなどが増加し、今までどおりの品質を維持することが難しくなると予想されています。外装ダメージに伴い、返品要望が増加し、さらなる納品遅延を引き起こすことが懸念されています。

配送附帯業務サービスの停止

 一部の診療領域で使用される製品の場合、患者宅への直送手配が求められます。直送手配の場合、在庫の整理や管理などの業務を配送業者が請け負うため、負担が増えます。
そうなると、配送業者の負担増加に伴い従来の無償による直送手配が難しくなるため、サービス自体の停止につながる可能性があるでしょう。

過疎地域における物流悪化

 過疎地域の場合、物流に関するインフラ不足や供給チェーンの複雑さ、気象条件などにより、安定供給が困難になることが予想されます。供給状態が困難になると、医療が供給される地域にばらつきが生まれ、医療レベルに格差が生じます。

物流2024年問題における代理店・医療機関の対応策

物流2024年問題に対し、代理店・医療機関が実施できる対応策はおもに以下のとおりです。

  • 製品の在庫数を増やす
  • EDI化の促進
  • 特別な配送サービスの費用を負担する
  • 外装ダメージ受け入れの基準を再考する
  • 症例を考慮した発注を行う

メーカー・配送業者が行う配送能力を考慮し、余裕を持った在庫数の確保などを行うことが大切です。また、EDIや特別な配送サービスの利用も検討することが必要になります。

製品の在庫数を増やす

 突発的な納品遅延が起こると、症例対応などで影響が出てしまい、患者さんへの治療や診断が止まる可能性があります。

そのため、ある程度の在庫数を確保することが大切です。消耗品の場合、使用期限が決まっている場合があるため、日々の消費量を考慮しながら発注することが求められます。

EDI化の促進

 EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略で、伝票や文書を電子データで交換するシステムです。従来のFAXなどを利用した紙による受発注の場合、送付・受け取りに時間がかかり、非効率になるケースがありました。

一方でEDIを採用することで、受注側・発注側双方のコミュニケーションコストが削減でき、受発注業務の効率化が図れます。

特別な配送サービスの費用を負担する

 緊急出荷対応などの特別な配送サービス(有料)を利用する場合、発注側がサービス費用を負担することが提案できます。

ただし、費用負担の考え方は、発注者によって異なります。しっかり話し合い、双方納得の上で進める必要があるでしょう。

外装ダメージ受け入れの基準を再考する

 輸送品質の低下により、製品にダメージが生じる場合があります。たとえば、製品を梱包する箱の角が潰れるなどのダメージが起こるかもしれません。

「製品本体への損傷がなければ許容する」という考え方が浸透すれば、リードタイムの短縮が見込めるでしょう。

症例を考慮した発注を行う

 日程が確定している症例を把握し、必要な製品を余裕を持って発注する体制をつくることが大切です。

発注後、翌日に到着する製品であっても、天候の影響などで配送が遅延することもあります。余裕を持った発注計画を作り、実行していくことが求められます。

まとめ

 物流2024年問題によって、配送業者の輸送力が低下し、納品遅延などが起こることが想定されます。

そのため、治療や診断に必要な製品が供給されず、患者さんに対する診療に影響が及ぶ可能性があるでしょう。今後、物流2024年問題を乗り越えるためには、メーカーだけでなく代理店や医療機関含め、適切な対応をしなければなりません。

製品の受発注に関連するメーカーや代理店、医療機関が協議し、納得のいくルール決めを行うことが大切です。また、EDIなどのシステムを積極的に利用することも求められます。

[参考URL・資料]
物流・運送業界をとりまく「2024年問題」とは?原因や企業がとるべき対策について解説
物流2024年問題にあたっての医療機器流通における課題と対応
物流2024年問題の医療機器業界への影響と考えられる対応について
EDIとは

カテゴリ

アプリも使ってみてね