名前と役割付き手術帽でチームワーク向上

  • 2023年12月1日
  • 2023年12月13日

 手術室でさまざまな職種のスタッフの名前や役割を全て覚えるのは困難で、それがコミュケーションの妨げになる場合がある。米・Stanford University School of MedicineのBecky J. Wong氏らは、手術室で働く医療従事者に名前と役割がラベル付けされた手術用キャップを配布し、その前後でチームワークが向上するかどうか検討した。その結果、ラベル付き手術用キャップの導入後、チームメイトの名前を呼ぶ頻度や役割の認識度が上昇し、チームワークの改善につながったとJAMA Netw Open2023; 6: e2341182) に報告した。

医師を含む全職種スタッフにキャップを配布

 これまでの研究で、手術室でのコミュニケーション不全は、施行時の非効率化やチーム内の緊張感、手技のミスを生むことが分かっている。円滑なコミュニケーションを図るにはチームメンバーの名前と役割を覚えることが重要であるが、特に大規模病院では困難である。

 そこでWong氏らは、手術チームのメンバーに名前と役割を記したラベルを付けた手術用キャップを配布することで、チームワークや連帯感が強まるか否かを検討する医療品質向上研究を実施した。

 研究は、2021年7月8日〜22年6月25日に米国の大規模四次医療センター単施設で実施した。名前と役割を記したラベルを付けたキャップを外科医、麻酔科医、研修医、周術期医療に従事する一般外科スタッフを含めた手術チームの全メンバーに配布。介入前後でチームワークに変化が生じたかを調査した。調査データの収集は、介入前が2021年7月8日〜12月31日、介入後が2022年3月22日〜6月25日に行った。

 主要評価項目は、自己申告による名前を呼ぶ頻度と役割の認識、介入後のチームワークおよび連帯感とした。また、自由記述によるコメントも収集した。

シンプルな介入でも効果あり、過小評価するなかれ

 調査の結果、対象となった周術期医療従事者1,483例のうち、967例(医師387例、医師以外580例、女性58%)が介入前調査に回答し、キャップを受け取った。介入後調査に回答したのは243例(医師197例、医師以外46例)だった。

 医師以外の医療スタッフにおける介入後調査の回答率が低かったため、医師に限定して解析した。人種/民族、役割、役職、性を調整後の解析では、キャップを受け取ってから名前で呼ばれることが多くなったと回答した医師が増加した〔調整後オッズ比(aOR)13.37、95%CI 8.18〜21.86〕。

 キャップの導入後にチームワークが改善したと回答した医師は80%、チームメイトとの連帯感が強化したと回答した医師は79%だった。さらに、名前で呼ばれる頻度が増えたと回答した医師では、チームワークが改善した(aOR 3.46、95%CI 1.91〜6.26)、チームメイトとの連帯感が強化した(同3.21、1.76〜5.84)と回答する人が有意に多かった(いずれもP<0.001)。

 自由記述によるコメントは、ラベル付きキャップがチームメイトの名前と役割を知る助けとなり、チームワークや連帯感の強化、患者の安全性の向上において有益であるといった調査結果を裏付けるものだった。

 今回の結果について、Wong氏らは「ラベル付きキャップの導入は、チームワークを強化するためのシンプルで実用的な介入法である。この有用性を過小評価すべきではない」と結論している。

今手麻衣
出典: Medical Tribune ウェブ

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