大学・国公立病院に勤務する3割超の医師がコロナ収束後はMRとのオフライン面会を希望
- 2023年6月16日
- 2023年9月6日

新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン会議が急速に広まりましたが、医療機関における医師とMRの面会も、従来行われてきた直接対面からオンライン化に変更するところが増えてきました。
しかし、2021年の医師に対する調査によると、大学病院・国公立病院に勤務する医師の3割以上がコロナ収束後はMRとのオフライン面会(直接面会)を希望しているという結果が出ています。
この記事では、コロナ禍によって医師とMRの関係がどのように変化したのかを解説し、オンライン・オフラインそれぞれの面会の利点・課題についてご説明します。
この記事の目次
MRとは

MR(Medical Representative)とは、医薬品メーカーや医療機器メーカーなどの製薬企業や医療機器メーカーに所属する営業職のことを指し、医師や薬剤師などの医療従事者に自社製品の情報提供や販売促進を行います。
医療現場においてMRから得た情報は、医師が適切な医薬品を選択をするために非常に有益です。そのため、MRは情報を正確かつ分かりやすく伝えるため、自社製品や疾患に関する最新の知識と、医師と密接に関わるための優れたコミュニケーション能力が求められます。
コロナ禍前後における医師とMRの関係性の変化

新型コロナウイルス感染拡大を契機に、医療現場では診療などに関してさまざまな変化がありました。これは医師とMRの関係性についても例外ではなく、以下にこの変化について詳しく解説していきます。
コロナ禍前の医師とMRの関係性
MRは医師に対して製品の情報提供や学術的なデータの提供、製品の効果や安全性に関する説明、製品の適正使用方法などの説明を行い、製品認知度向上に貢献していました。
これらは定期的な面会や研修会、イベントやセミナー開催などを通じて行われ、医師側からの要請で開催することもありました。またコロナ禍前まではその多くがオフラインで行われていました。
コロナ禍の医師とMRの関係性
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療現場は大きく変化し、これは医師とMRの間にも大きな影響を及ぼしました。2021年時点で約60%もの病院でMRの訪問が規制され、MRが医師と直接対面で話をする機会は大幅に減少しました。
これを受けてMR側は、医師との面会においてオフライン面会以外の新たなアプローチが必要になり、特にオンライン面会はコロナ禍において急速に普及していきました。
大学病院・国公立病院でこの傾向は強く、2021年の調査によると、大学病院・国公立病院に勤務する約90%もの医師が、MRと月1回以上のオンライン面会をしていることがわかっています。
オンライン面会の利点と課題

病院によってはオンライン面会が主流になりつつあるところも増え、今後ますます重要な役割を担うことが予測されます。しかし、オンライン面会にはさまざまな利点や課題があります。
オンライン面会の利点
オンライン面会の主な利点は、以下に挙げられます。
・新型コロナウイルス等における感染リスクを軽減できる
・時間や場所を問わず、遠方の医師とも面会できる
・スケジュール調整が容易
・面会の記録を残すことができる
オンライン面会では直接対面しないため感染対策は不要であり、医療現場での感染リスク軽減につながります。
また、MRは訪問のための移動も不要になるため、これまでコンタクトを取りづらかった遠方の医師とも面会が可能となります。医師側もまた、ネット環境さえあれば面会に応じることが可能になり、直接面会する時よりも、医師・MR双方のスケジュール調整をすることが容易になります。
さらに、オンライン面会は映像としてその内容を記録することもできるため、改めて面会内容を確認したりするのに役立ちます。
オンライン面会の課題
一方で、オンライン面会の課題点も、下記のようにいくつか挙げられます。
・オフライン面会と比較して情報の伝え方に制限がある
・コミュニケーションツールの操作に慣れる必要がある
・ネットワーク環境によっては円滑なコミュニケーションが取れない
オンライン面会では直接対面と違い、相手の表情やしぐさを直接見ることができないため、情報伝達に齟齬が生じるリスクがあります。
また、オンライン面会を行うにあたってビデオ通話やチャットなどのコミュニケーションツールの操作に慣れる必要があり、ツールの不具合などがあると円滑な面会ができない場合があります。
さらに、ネットワーク環境が不安定だと途中で通信が途切れたり、音声や映像の乱れが発生することがあります。
オフライン面会の利点と課題

オンライン面会の需要が高まったことによって、従来のオフライン面会がなくなるかというと、そうとも限りません。オフライン面会もオンライン面会同様にさまざまな利点や課題を含んでいます。
オフライン面会の利点
・対面で話せるため、より深いコミュニケーションが可能
・商品やサンプルを直接手渡しができる
オンライン面会の主な利点は上記に挙げた通りですが、オフライン面会の利点は何といっても、直接医師とMRが対話できることにあります。
MRは医師の表情やしぐさを直接確認できることでより深いコミュニケーションが取れ、製品の情報をより分かりやすく伝えることができます。
医師もまた、不明点について直接MRに質問がしやすく、製品についての知識をより深めることができます。また、面会時に商品やサンプルの手渡しができるため、商品説明やデモンストレーションがより効果的にできるという利点もあります。
オフライン面会の課題
・新型コロナウイルス等における感染リスクがある
・医師とのスケジュール調整に時間を要する
・物理的な距離がある場合は訪問が困難である
オフライン面会の主な課題点は、上記に収束できるでしょう。
オフライン面会には当然のことながら感染リスクが伴います。特に、医療機関では患者さんの健康を考慮し、十分な手洗いや手指消毒、マスク着用、検温などが求められます。
また、多人数での面会となると感染リスクを高めることにも繋がります。
さらに、オフライン面会ではMRの移動時間も発生するため、医師とのスケジュール調整に時間を要し、なかなか面会が適わないことも考えられます。その上、地方や離島といった遠隔地にある病院の場合、物理的な距離が問題となりMRの訪問自体が困難になる可能性が出てきます。
コロナ禍後の医師・MR間における面会の展望

これまで説明したように、オンライン面会・オフライン面会ともにさまざまな利点や課題が指摘されています。
では、実際の医療現場において、医師はMRの情報提供をどのような形で受けることを希望しているのでしょうか。
大学病院・国公立病院に勤務する医師の3割以上がコロナ収束後にMRとのオフライン面会を希望
日経メディカル社が実施した調査によると、大学病院や国公立病院は一般病院と診療所に比べてMRとのオフライン面会の制限が厳しく、オンライン面会がより普及しているという結果がでました。
一方で、大学病院や国公立病院に勤務する医師の3割以上が、コロナ収束後はMRとのオフライン面会を希望すると回答しています。
これは、多くの医師がMRとの直接的なコミュニケーションが重要であると感じていることを示唆しており、オフライン面会の需要も依然として高いことが伺えます。
また、状況によってオンライン・オフラインを使い分けたいと考えている医師もおり、コロナ収束後の医療現場において、MRとのオフライン面会は重要な役割を果たすことが期待されています。
Pr.JOYを活用したMR⇔医師・薬剤師間の「面会機能」

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医師・薬剤師に 対面|WEB面会 のアポイントが取れる
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面会可能な医師・薬剤師一覧ページ
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医師・薬剤師に面会リクエストが送信できる
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MR・医療関連企業様からの面会リクエスト一覧が表示される
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面会リクエストに簡単に返信することが可能
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[参考URL]
新型コロナの5類引き下げ「5月8日から」最終決定、6万人の入院受け入れ体制整備へ
日経メディカルプロキャリア|メディカル業界アンケート集計結果「医師のMRに対する意識調査 ~コロナ禍前後での変化~」

2015年に私立大学医学部卒業後、初期臨床研修医を経て大学医局に入局。消化器外科医として現在関連病院勤務。