新型コロナ5類引き下げで変わる、病院の入退館

  • 2023年6月9日
  • 2023年9月6日

新型コロナウイルスの感染法上で取り決められている分類について、政府は4月27日に2類から5類への移行を示しました。これに伴い、今後は病院の規制やMRなどの業者の入退館の様子が変化していくことが予想されています。

そこで今回は、新型コロナ5類引き下げによって、今後病院の規制がどう変化していくのかを解説します。感染拡大防止を続けるために重要なポイントを把握することで、患者さんや院内スタッフが安心して病院に滞在しやすくなるでしょう。

5月8日から新型コロナ5類引き下げへ

厚生労働省は4月27日、新型コロナウイルス感染症法上の分類に関して、2類から5類に引き下げることを決定しました。

加藤厚生労働大臣は「重症度でオミクロン株を超える変異株は確認されておらず、感染リスク上昇の概念はない」と表明しています。さらに「感染状況は平時から監視を続けるほか、幅広い医療機関が患者を受け入れる環境作りを進める」と述べました。

上記の方針に沿って、全国約8400施設の医療機関において、最大5万8000人の入院患者受け入れ体制が整えられます。政府は今回の新型コロナ5類引き下げにあたり、本体制を9月末までに整備していく方針です。

新型コロナ5類引き下げに伴う変更点とは?

「新型コロナ5類引き下げになって何が変わるの?」
このように疑問に思う方もいるかもしれません。
そこで新型コロナ5類引き下げに伴う変更点について解説します。
変更点を把握し、新型コロナ感染拡大防止に向けて適切な対応をしていきましょう。

感染症法上の位置付け

日本では、感染症法と呼ばれる法律に基づいて、感染症を1類から5類、新型インフルエンザ等に分類しています。主な区分けは以下の通りです。

分類主な感染症概要
新型インフルエンザ等感染症新型インフルエンザなど国民の健康や生命に重大な影響を与える恐れのあるものを指す
1類ペスト・コンゴ出血熱・クリミア・ エボラ出血熱など危険性が極めて高い感染症を指す
2類SARS・MARS・結核など危険性が高い感染症を指す
3類腸管出血性大腸菌感染症・赤痢・腸チフスなど集団食中毒などの、集団感染を起こし得るものを指す
4類日本脳炎・デング熱など虫や動物、飲食物などを介して感染するものを指す
5類新型コロナウイルス感染症・季節性インフルエンザなど国の調査に基づいて、感染拡大防止に取り組むべき感染症を指す


もともと新型コロナウイルスは、危険性が極めて高いとされる2類に区分されていました。
一方で、5月8日からは、危険度がさほど高くないとされる5類に区分されています。

上記に伴い、院内規制や面会規制などが緩和されています。

自宅待機について

5類引き下げ前は、コロナの陽性反応が出た患者さんは、自宅で療養しなければなりませんでした。陽性判明した無症状者の場合、検体採取日の翌日から7日間経過して症状が無ければ療養解除されます。

一方で5類引き下げ後は、自宅待機は必須ではなくなっています。
外出などの制限もないため、生活する上での制限がなくなります。

入院勧告指示について

5類引き下げ前は、コロナの陽性反応が出た患者に対して、入院勧告・指示が出されていました。一方で5類引き下げ後は、入院勧告・指示は出されません。自宅待機同様、制限はなくなります。

医療費について

5類引き下げ前は、発熱などの症状がある場合は無料で検査が可能でした。
一方で5類引き下げ後は、検査費用は自己負担になります。また地方自体による検査キットの無料配布が終了したり、民間検査所で実施されるPCR検査は有料になります。

重症化リスクが高い高齢者施設や医療機関、障害者施設に感染者が出た場合は、行政検査として無料で実施可能です。(職員への集中的検査や周囲の人への検査を行う場合)

入院時の食事代や医療費も自己負担になります。しかし9月末までは、高額療養費制度の自己負担限度額より2万円が減額される措置が取られます。

コロナ治療薬の費用については、9月末まで公費負担です。
ワクチン接種に関しては、2023年度までは自己負担無しで医療従事者や介護従事者、高齢者や基礎疾患の方を対象に実施します。

感染対策

マスクの着用に関しては、5類引き下げ前の3月13日より「個人の判断」となっています。
一方で、以下のケースの場合はマスクの着用に関して必要性を呼びかけています。

  • 通勤ラッシュ時などのバスや電車に乗車する時(高速バスや新幹線、通勤ライナーなどは除く)
  • 医療機関・高齢者施設を受診する時

上記に加え、コロナ重症化リスクの高い患者さんがいる医療機関などにいる職員は、勤務中のマスクの着用が推奨されています。

患者の受け入れ

5類引き下げ前の受け入れ患者数は、約5万3000人でした。
一方で5類引き下げ後は、約5万8000人の受け入れ患者数を可能とする体制を9月末までに整備する予定です。(全8200病院の9割である約7400病院と、約1000診療所で対応)

これにより、より多くの患者さんが受け入れられる体制が作られ、早期治療につながる医療体制が実現しやすくなるでしょう。

新型コロナ5類引き下げに伴う病院の規制緩和

新型コロナ5類引き下げに伴い、病院の規制が緩和され始めました。

引き下げ前、玄関前に設置されていた消毒液や体温測定器が撤去されている病院も徐々に増え始め、椅子しかなかった休憩スペースにもテーブルが置かれるなどの取り組みも見え始めました。

また、フェイスシールドの着用が義務化されていた院内職員に関しては、マスクだけの着用で許可が出るようになった病院もあります。このように、新型コロナ5類引き下げに伴って、院内規制が緩和されています。

その結果、患者や院内スタッフの負担が減り、人と人とのコミュニケーションが増えました。フェイスシールドがないことで会話がしやすくなったり、待合室の椅子やテーブルが増えたりしたことで、交流の機会が増えたのです。

入院患者への面会規制も解除されたことも大きな変化の1つと言えます。
入院患者になかなか会えなかったご家族の方も、面会条件が緩和された状態で面会ができるようになりました。

とはいえ、全ての規制が緩和されたわけではありません。
病院によっては、職員が感染した場合、従来通り自宅待機を命じる施設もあります。
病院ごとで規制を緩和する部分と、現状維持を続ける部分を明確に取り決めているのです。

新型コロナ5類引き下げに伴う、病院と業者の関わり合い

新型コロナ5類引き下げ前は入退館の規制が厳しく、MRなどの業者の立ち入りが厳しく規制されていました。MRが長時間院内に滞在すると、感染リスクが上がります。そのため、病院は感染リスクを下げるために規制を厳しく敷いたのです。

これにより、病院と業者との関わり合いに変化が出てきました。

たとえば、病院が業者から商品紹介のプレゼンテーションやデモンストレーションを受ける際はオンライン面談が主流となりました。今までは対面で受けていた商品説明を、PCを介して受けるようになったのです。

これに伴い、病院関係者や業者もオンライン面談に対応するためにツールの整備やツール操作の練習などを行うようになりました。オンライン面談を行うための環境作りが進んだことで業者の入退館頻度が減り、院内感染率の低下に貢献できるようになったのです。

一方で5類引き下げ後は、多くの病院で入退館の規制を緩和したものの、外部業者の訪問ルールとして引き続きアポイント制を採用している病院が多くあります。徐々にオンライン面談からオフライン面談への移行が進み、オフラインとオンラインのハイブリッドでの情報提供の機会が求められています。

新型コロナ5類引き下げ後も訪問ルールを守ろう

新型コロナ5類引き下げに伴い、入退館の規制が緩和され、業者を含む関係者の訪問回数が増え始めています。ここで重要なのが、出入りする業者の入退館管理です。

病院に出入りする業者の入退館管理において重要なことは「いつ・誰が・どこに訪問したかを記録すること」です。
これらを明確にすることで、感染が発生した際の感染経路を把握できます。感染経路を把握することで感染原因が把握しやすくなり、再発防止に向けて感染対策がしやすくなるでしょう。

ビーコンを活用した入退館管理

新型コロナ5類引き下げにより、今後ますます病院への訪問者が増えていくことが予想されます。そのため、今後も感染拡大防止策を実施し、感染時のリスクヘッジをしておかなければなりません。

医療業界の「働き方改革支援システム」を多数提供しているDr.JOYでは、病院に出入りされる製薬企業のMRをはじめ、外部業者の入退館をビーコンを用いて行うことが可能です。

病院側は工事不要の専用機器を設置するだけ

外部業者の入退館を管理する病院側で必要なのは、専用受信機を業者の方が立ち寄りそうな院内に複数設置するだけです。専用受信機は工事不要でコンセントに挿すだけなので、簡単に取り付けることができます。

外部業者はビーコン付き名札を着用するだけ

院内に出入りする外部業者の方は、入館の際にビーコン付き名札を着用いただくだけで入退館時の面倒な受付が不要になります。また、名札は顔写真付きで業種ごとに色分けされているため、病院の受付スタッフの視認性アップに役立ち、着用していない外部業者も一目でわかり注意を促せます。
※ビーコン付き名札は外部業者様に購入いただく必要があります。

外部業者の院内行動が自動検知できる

外部業者は、ビーコン名札を身につけることで受信機が場所情報をキャッチし、院内での行動がリアルタイムで検知される仕組みになっています。そのため、病院側は誰が・いつ・どこに居たのかを確認することができるため、もし院内感染が発生した場合でも、濃厚接触や感染経路の確認をするのに有用です。

【病院側の管理画面】
外部業者が訪れた場所。時間が自動で反映

アポあり・アポなし訪問の判別が可能。不要な長時間滞在の抑止にも

アポイント制の病院が増えている中で、アポイントが必須ではない病院では、MRが医師・薬剤師への訪問時に、あらかじめアポイントを取得したうえでの来院なのかが把握できず、その結果、外部業者が医局で不要な長時間滞在をしていることを問題視している病院が数多くあります。

しかし、このビーコンを用いた入退館管理では、外部業者の来院に対してアポあり・アポなしの有無が分かり、視認性も上がることで不要な長時間滞在の事前抑止ができます。もし外部業者がアポイント終了後に不要な長期滞在していた場合は、注意を促すことも可能です。

【病院側の管理画面】
アポあり訪問の場合、面会時間が表示される

外部業者へ一斉連絡ができる

自院に出入りしている外部業者に向けて、院内のルール変更などのお知らせをする場合、1人1人に向けてメールでご案内するのは非常に大変なことです。しかし、この一斉連絡機能を使えば、登録している外部企業の担当者全てに簡単にお知らせを配信することができます。また、お知らせ配信は既読・未読チェックが行えるため、未読者には後日まとめて再送信することも可能です。

【病院側の管理画面】
病院から配信したお知らせの未読者が、顔写真と共に表示
【ビーコン入退館 導入事例インタビュー】
羽鳥市民病院様

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